✖️

yuublog

yuublog

ぽてっと

Solidityで「Faucetアプリ」を作る方法【Web3.jsでメタマスクと連携】

PROGRAMMING

こんにちは、yuudaiです。
今回は「Solidityで”Faucetアプリ”を作る方法」を解説します。

アプリ作成で利用する技術

  • Solidity:スマートコントラクトの実装
  • Web3.js:フロントエンドからスマコンの操作
  • Metamask:フロントエンドからトークンの送金

もくじ

  • 1.Faucet用のスマートコントラクトを作る
  • 2.スマートコントラクトを「デプロイ」する
  • 3.スマートコントラクトとフロントエンドを繋ぐ

それでは、見ていきましょう。

1.Faucet用のスマートコントラクトを作る

まずは、下記の2つを作成します。

  • その①:トークン用のスマートコントラクト
  • その②:Faucet用のスマートコントラクト

上記のとおりなので、順番にみていきます。

その①:トークン用のスマートコントラクト

まずは「トークン用のコントラクト」を作ります。

Faucetから「イーサ」を吐き出してもいいのですが、勉強のために「トークン作成」から進めていこうと思います。イーサを吐き出す場合は、トークン用のスマートコントラクトを作らなくてもOKです。

トークン発行用のスマートコントラクト

// SPDX-License-Identifier: MIT
pragma solidity ^0.8.2;

import "@openzeppelin/contracts/token/ERC20/ERC20.sol";

contract ManabuBananaToken is ERC20 {
    constructor() ERC20("Manabu Banana Token", "MBT") {
        _mint(msg.sender, 1000000 * 10 ** decimals());
    }
}

上記のとおり。めちゃくちゃシンプルですよね。

今回は「OpenZeppelin」というライブラリを使っているので、たった数行のコードでトークン発行できています。

なお、コードでは「ManabuBananaToken (=マナブ・バナナ・トークン)」を発行しています。枚数は「百万枚 (=1,000,000)」です。

OpenZeppelinのライブラリの使い方


OpenZeppelinのサイト内に「Contracts Wizard」というページがあります。ここを使うことで、秒速でトークン発行できます。

補足:ライブラリなしでトークン発行する方法

OpenZeppelinは便利ですが、しかし「内部のブラックボックス化」が起こりますよね。要するに「動いたけど、、意味がわからん」という状態です。

ここを防ぐには「Create your own BEP20 tokens」という記事がオススメです。こちらのチュートリアルを学べば、ライブラリなしでトークン発行を学べます。

というわけで、以上が「トークン発行」のパートです。

世の中には大量のトークンが出回っていますが、実はこんなにも簡単に作れる訳ですね。仕組みが分かると、マーケットの見え方も変わると思います。

その②:Faucet用のスマートコントラクト

続いては「Faucet機能を持つスマートコントラクト」を作ります。結論としては、下記コードがスマートコントラクトの全文です。

// SPDX-License-Identifier: UNLISCENSED
pragma solidity ^0.8.4;

interface ERC20 {
    
     /**
     * @dev returns the tokens owned by `account`.
     */
    function balanceOf(address account) external view returns (uint256);

     /**
     * @dev returns the decimal places of a token
     */
    function decimals() external view returns (uint8);

    /**
     * @dev transfers the `amount` of tokens from caller's account
     * to the `recipient` account.
     *
     * returns boolean value indicating the operation status.
     *
     * Emits a {Transfer} event
     */
    function transfer(address recipient, uint256 amount)
        external
        returns (bool);
 
}

contract MBTFaucet {
    
    // The underlying token of the Faucet
    ERC20 token;
    
    // The address of the faucet owner
    address owner;
    
    // For rate limiting
    mapping(address=>uint256) nextRequestAt;
    
    // No.of tokens to send when requested
    uint256 faucetDripAmount = 1;
    
    // Sets the addresses of the Owner and the underlying token
    constructor (address _mbtAddress, address _ownerAddress) {
        token = ERC20(_mbtAddress);
        owner = _ownerAddress;
    }   
    
    // Verifies whether the caller is the owner 
    modifier onlyOwner{
        require(msg.sender == owner,"FaucetError: Caller not owner");
        _;
    }
    
    // Sends the amount of token to the caller.
    function send() external {
        require(token.balanceOf(address(this)) > 1,"FaucetError: Empty");
        require(nextRequestAt[msg.sender] < block.timestamp, "FaucetError: Try again later");
        
        // Next request from the address can be made only after 5 minutes         
        nextRequestAt[msg.sender] = block.timestamp + (5 minutes); 
        
        token.transfer(msg.sender,faucetDripAmount * 10**token.decimals());
    }  
    
    // Updates the underlying token address
     function setTokenAddress(address _tokenAddr) external onlyOwner {
        token = ERC20(_tokenAddr);
    }    
    
    // Updates the drip rate
     function setFaucetDripAmount(uint256 _amount) external onlyOwner {
        faucetDripAmount = _amount;
    }  
     
     
     // Allows the owner to withdraw tokens from the contract.
     function withdrawTokens(address _receiver, uint256 _amount) external onlyOwner {
        require(token.balanceOf(address(this)) >= _amount,"FaucetError: Insufficient funds");
        token.transfer(_receiver,_amount);
    }    
}

上記のコードは「How To Deploy a Faucet」の記事を参考にしました。

なお、申し訳ありませんが、この記事でスマートコントラクトの詳しい説明は省きます。詳しい内容は、引用元の記事をご覧ください。

ちなみに、スマートコントラクトの最初に「interface」という記述がありますが、ここの解説は「Interface in Solidity smart contracts」が詳しいです。

そして「contract MBTFaucet {}」の内部に関しては、1つ1つのコードを読んでいけば、全体の流れは理解できるはずです。基本的には「JSの基礎知識」が必須だと思います。

というわけで、以上がスマートコントラクトのパートです。
続いては「スマコンのデプロイ」に進みます。

2.スマートコントラクトを「デプロイ」する

スマコンのデプロイは「Remix – Ethereum IDE」を使います。

  • 手順①:トークンをデプロイする
  • 手順②:Faucet機能をデプロイする

上記の順番で進めていきます。速攻で完了します。

手順①:トークンをデプロイする

下記の画像のとおりに設定してください。

その後に「Deploy」というオレンジ色のボタンを押すだけです。するとメタマスクが立ち上がり、ブロックチェーンにデプロイできます。以上で完了。

補足:コントラクトが表示されない場合

上記の画像内の「CONTRACT」の部分に「ManabuBananaToken」といった表示が出てこない場合は、Remixの「オートコンパイル機能」を「オン」にしてください。方法は「こちら」の画像で解説しました。

なお、もっと深くRemixについて学習したい場合は「Solidity Tutorial – A Full Course on Ethereum」の動画が参考になります。動画を見ることで、Solidityの基礎と、Remixの基礎を学べるはずです。

手順②:Faucet機能をデプロイする

トークンと同じです。下記の画像のとおり。

しかし、1つだけ注意点があります。オレンジ色の部分です。

  • _MBTADDRESS:トークンのコントラクトアドレスを記入
  • _OWNERADDRESS:トークンオーナーのウォレットアドレスを記入

オレンジ色の部分には、上記のように記入します。先ほどにトークンを発行しているので、すでに「コントラクトアドレス」と「トークンのオーナーのアドレス (=自分のMetamaskのアドレス)」は把握していますよね。

記入後に「Deployボタン」を押すと、完了します。これにて、スマートコントラクトのデプロイが完了。参考までに、僕のFaucet情報が下記です。

  • トークンのコントラクトアドレス:0xb58…
  • オーナーのウォレットアドレス:0x953…

上記を見てみると、実際の履歴が分かるはずです。なお、ネットワークは「Ethereum」の「Rinkebyテストネット」を使っています。

3.スマートコントラクトとフロントエンドを繋ぐ

というわけで、最終パートです。

  • 手順①:簡単なHTMLを作る
  • 手順②:フロントエンドとスマコンを繋ぐ

上記を進めていきます。楽しいパートです。

手順①:簡単なHTMLを作る

フロントエンドは超シンプルです。

<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
	<title>Faucet Demo</title>
	<script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/web3@latest/dist/web3.min.js"></script>
</head>
<body>
	<p>Faucetのデモサイト</p>
	<button type=“button” onclick="doFunction();">トークンをゲットする</button>
</body>
</html>

これだけです。説明は不要ですよね。

強いていうなら「head」の部分で「web3.js」を読み込んでいます。
こちらのJSを読み込むことで、スマコンを操作することが出来ます。

手順②:フロントエンドとスマコンを繋ぐ

続いては「Web.js」を触っていきます。

ここからの内容は「Interacting with Smart Contracts from Web Apps」という記事を参考にしました。こちらを参考にしつつ、カスタマイズしています。

なお、ここからのスクリプトでは、次の2つを実行しています。

  • その(1) メタマスク&スマコンに接続する
  • その(2) スマートコントラクトを実行する

これだけです。まずは完成版のコードを貼っておきます。

// メタマスクに接続する
async function loadWeb3(){
	if(window.ethereum) {
		window.web3 = new Web3(window.ethereum);
		window.ethereum.enable();
	}
}

// コントラクトに接続する
async function loadContract(){
	return await new window.web3.eth.Contract([ ...省略...
	],'【Faucetのコントラクトアドレスを記載する】');
}

// 利用者のメタマスクのウォレットアドレスを取得
async function getCurrentAccount(){
	const accounts = await window.web3.eth.getAccounts();
	return accounts[0];
}

// ボタンがクリックされたときに、Faucetのコントラクトを実行する
async function doFunction() {
	const account = await getCurrentAccount(); // 利用者のメタマスクのウォレットアドレスを取得
	const send = await window.contract.methods.send().send({ from: account });
	console.log(send);
}

// メタマスクとコントラクトへの接続を実行する機能
async function load(){
	await loadWeb3(); // メタマスクに接続する
	window.contract = await loadContract(); // コントラクトに接続する
}
load(); // メタマスクとコントラクトへの接続を実行する機能を実行する

上記のとおり。なお、コントラクトに接続するファンクションは、部分的に省略しています。完全版のコードは「Github」に公開しておきました。

いくつかのコードについて、下記で深堀りをします。

メタマスクに接続する

async function loadWeb3(){
	if(window.ethereum) {
		window.web3 = new Web3(window.ethereum);
		window.ethereum.enable();
	}
}

上記にて「メタマスクへの接続」ができます。画面をロードすると、メタマスクのポップアップが出てくる感じですね。なお「async」については「async / awaitの使い方の記事」をどうぞ。

コントラクトに接続する

async function loadContract(){
	return await new window.web3.eth.Contract([ ...省略...
	],'【Faucetのコントラクトアドレスを記載する】');
}

スマコン接続は上記なのですが、ここでは「ABI」を利用します。

ABIとは「Application Binary Interface」のことで、そのまま翻訳すると「2つのアプリケーション用のインターフェイス」です。要するに「2つのアプリ」を繋ぐ訳ですね。今回のケースだと「フロントエンドとスマコン」を繋ぎます。

ABIの取得方法は、下記の画像のとおりです。


赤枠に注意しつつ、コピーしてください。僕は自分で作業するときに、ここで「別のコントラクトのABI」をコピーしてしまい、2時間ほど消耗しました。

コピーしたABIは、下記の部分に貼り付けます。

return await new window.web3.eth.Contract(【ここに貼り付け】)

上記のとおり。これでフロントエンドからスマコンを操作できるようになります。なお、繰り返しですが、完全なコードは「Github」にあります。

スマートコントラクトを実行する

async function doFunction() {
	const account = '【利用者のメタマスクのアドレス】';
	const send = await window.contract.methods.send().send({ from: account });
}

上記でFaucetを実行できます。なお、実際のコードでは「getCurrentAccount()」のファンクションを定義して、自動で利用者のメタマスクアドレスを取得しています。

作成したアプリを実行してみる

というわけで、以上です。最後に、アプリを実行しましょう。

追記(2022年2月5日):Faucetにコインを投入する件

1つ記載を忘れていました。作成した「Faucetのコントラクト」には、必ず「自分が作成したトークン」を入れておくようにしてください。トークンのオーナーアドレスから、Faucetのコントラクトアドレスに、自作したトークンを送付したらOKです。

なお、ローカル環境ではメタマスクが動きませんので、Node.jsの「serve」というライブラリが便利です。こちらをインストールすると、ローカル環境でメタマスクを実行できます。

すべてのコードをまとめておきます

というわけで、以上となります。
スマートコントラクトは、楽しいですね (`・ω・´)ゞ

P.S:普段の僕は「Twitter」を軸に発信しています。また最近は「Webマーケ教材」の作成に注力しており、ネットで稼ぐスキルを学べます。ブログの更新通知は、twitterでお知らせしていきます。